ねこばな
 
ノラや散歩途上等、外猫を撮り歩いてます^^ また季節の花なんかも少しあります^^
 



●紙芝居/旗本退屈にゃんこ
~説明~
天下御免の向う傷を股間に要する旗本退屈にゃんこのハチャメチャ長編活劇。

「旗本退屈にゃんこ」 第五幕 「大江戸桜剣の舞」

【もんもん介】「いやいや、久しぶりの江戸じゃわい」
信州猫月城で幽閉されていた百万石藩主恍惚呆之守を大車輪の活躍で助け出したはいいが、当の恍惚呆之守がその名のとおり完全に呆けており、報奨どころか密かに当てにしていた三毛姫との契りの件もなんのご沙汰もなく、もんもん介、少しやり場のない鬱積を抱えたままの旅となったため、未だ囚われのままの三毛姫のことを後回しに、あちらの茶店、こちらの遊郭と、宿場毎に遊び歩いていたのだからあきれ果てる。
そのため路銀も底をつき、またいかな太平楽なもんもん介とてさすがに三毛姫の身が少しは案じられてきたと見え、甲州の宿より遊びを控えて急いだため、どうやら桜の散際には江戸表に着くことが出来た。
【もんもん介】「さて、猫月判江戸屋敷にも国許からの上意の沙汰が届き、三毛姫をかどわかし狸家老の仕置きも決まったころであろう。でわでわ、姫をば救い出しに参ろうかの。ぷはっ♪」
新たなわらじに履き替えたもんもん介、腰のものをぱんっ、と一叩きし、さっそく三毛姫のいる件の庵へと-。



両国橋を渡り、そのまま本所の屋敷へ一旦帰り、旅の垢を落としてから出直す事もちらと想ったもんもん介だが、江戸までへの道すがらに散々寄り道した故、まずは三毛姫の無事を確かめようと殊勝にも考えを改め、件の庵へとまっすぐ向かうことにした。
【もんもん介】】「三毛姫は待ちくたびれておるかの? ・・・いや待て。もしやすでに江戸屋敷のほうに身を移されておるかの? ま、どちらにしろ猫月藩江戸屋敷と庵とは一里と離れておらぬわ♪」
そう一人ごちたもんもん介、姫との再会に胸躍らせながら庵へと続く山道の小川に差し掛かった。
幅二間ほどの、丸太を半分に断ち割ってこさえた小さな橋を渡ろうとした刹那、足元から突如凄まじい殺気が立ち上った。



【刺客】「殿の仇っ!!」
足元に潜んでいた刺客が裂ぱくの気合とともにもんもん介目掛けて回し斬りに斬りかけた。
刺客の刃風思いのほか鋭く、姫への懸想に気を取られ、よもやこのようなところで襲われるとは想いもしなかったもんもん介、その油断ゆえ如何に諸出流免許皆伝の腕前といえども斬撃を避けきれず、浅手ながらも腰を斬り割られガクッとその場に腰を落とした。
【刺客】「死ねいっ!!」
もんもん介に抜き合わせる暇を与えず、二撃、三撃と必殺の剣を繰り出してくる刺客に対して、もんもん介体を転がし必死で避けるのが精一杯。しかしとうとう避ける広さも失い、川端に追い詰められた。
よもやこれまでか-
さしものもんもん介もそう覚悟を決めかけたその時-。



【刺客】「ぬっ!何奴!」
急に刺客の斬撃がそれ、足元が乱れた。
その一瞬の隙にもんもん介、横に転がりながらすばやく身を起こすとようよう抜き合わせることが出来た。
【もんもん介】「ぷはぁ♪」
刀身を右上段にぴたりと据え、ここで一つ大きく息を継ぎ、さて何ゆえ刺客が乱れたかとその背後を見ると、なんと、本所下水割の屋敷に出入りしている、身分は町人なれど鉄火肌、もんもん介に心酔し、一の子分ともいえる夜這いの門太が、そこいらの石くれを刺客に手当たり次第に投げつけながら駆け上ってくるではないか。
【夜這いの円太】「本所の殿様~っ、この夜這いの円太、助太刀いたします~っ!」
【もんもん介】「おぉ、円太。おかげで助かったぞ。」
そういうや刺客のほうへジリと半歩踏み出し、
【もんもん介】「おぬしの相手はこちらじゃ。さあ来いっ♪」
こうのたもうた。
【刺客】「猪口才なっ!狸家老様の死出の共行をせいっ!」



【もんもん介】「なんのっ!我が奥義、諸出流正眼崩しを受けてみよ。ぷはっ♪」
打ちかかる刀身を刷り上げざまに滑らせ、相手の剣先をはじくとともにそのまま巻き込むようにもんもん介の剣先が刺客の眉間をざくりと斬り割った。
【刺客】「ふんぎゃあぁぁ!」
たまらず刺客はばったりと倒れ付し、からくも死闘を制することが出来たが、しかし浅手ながら自らも腰を斬られているもんもん介もその場にがくりとひざを落とし、しばらく肩で荒い息をつく有様。
【夜這いの円太】「殿様っ、大丈夫ですかいっ」
【もんもん介】「いや円太。此度はほんに助かったぞ♪」
「しかし何故ここに駆けつけてきたのじゃ?」

九死に一生を得たもんもん介も人心地がつき、姫の待つ庵へと歩み始めながら、先程からの疑問を口にした。
【夜這いの円太】「いやなに、あっしが野暮用で両国橋に来て見ると殿様の後姿が見えたもんで。で、いったい屋敷に向かわずにどこ行くんだろうとここまでついて来たって次第でさぁ」
【もんもん介】「そうであったか。いや実はの・・・」
庵への道すがら、もんもん介は円太へこれまでの経緯を語り聞かし、最後にこう言った。
【もんもん介】「こうなれば庵の姫君の身が案じられる。腰が少々心許ないが、円太、急ごうっ。」

狸家老の残党は後どれほどいるのか? なにより三毛姫は果たして無事なのか?
浮かれ気分も吹っ飛んだもんもん介らを待ち受ける運命は如何に?
いよいよ(・・・ほんとか?^^;)大詰めを迎えようとする旗本退屈にゃんこ、第五幕はこれにて、幕~m(__)m
・・・なお過去の段は【●紙芝居・猫物語】のカテゴリーにてお楽しみを^^



4月19日(火) | トラックバック(0) | コメント(7) | ●紙芝居/旗本退屈にゃんこ | 管理

「旗本退屈にゃんこ」 第四幕 「風雲!猫月城」

ヒタヒタヒタ・・・
一時を楽しんで城へと戻るご侍医の後をここまでつけてきたもんもん介。真暗闇で人通りも絶えた場所を選び、無言のまま一気に走りより抜身の一閃! ご侍医の掲げる提灯をバサリ!と斬り飛ばした。
【ご侍医】「ひゃーっ。ひ、人殺しぃ!」
腰を抜かしてへたり込むご侍医にもんもん介、
【もんもん介】「命が惜しくば騒ぐんじゃあない。ぷはっ♪」
「お主と狸腹黒太夫が企てし悪事が事、このもんもん介全てお見通し。今から成敗してくれようから、念仏でも唱えるがよかろう。ぷわはっ♪」

・・・言ってる事がちと矛盾するが、そういいながら刀を上段に振り被り、今にも打ち下ろさんと構えるともう相手は堪らない。
【ご侍医】「ど、どうか命だけはお助けを~m(__)m」
こうして観念したご侍医、謀略の全貌、お殿様の幽閉されし場所から警固の数まで全て洗いざらい白状した。
とりあえずこやつを放逐するわけにはいかんと一計を案じたもんもん介。先ほどの色店「ひさご屋」にとって返して訳を話し、捕え置くよう女将に頼み込んだ。
【女将】「え。よござんす。裏の布団部屋にでも押し込んでおきまひょ。」
そういいながら小手高に縛り上げる様を見てもんもん介、また股間の虫がもんもんして来た^^;
【もんもん介】「縄もいいもんじゃのう♪ぷはぷはぁっ♪」^m^
【女将】「あっ♪」



【門番】「あいやまたれい。身分と用件を名乗られるがよろしかろう」
女将とすることをしてさっぱりしたもんもん介、なんと猫月城表門より堂々と乗り込んだ。搦手門の見張所より警固の者二名からこう質されたもんもん介、
【もんもん介】「拙者、江戸の狸腹黒太夫殿より殿への火急の口上を伝えるべく仕った所存。ほれこのとおり、鑑札もござる。」
こういってご侍医より奪い取った「城名往来免状」を指し示し、まんまと猫月藩城中へと分け入り、城侍に案内されて城中奥深く、謁見の間のほうへ。
その時ー



【家老手の者1】「待ていっ。この先何人たりとも通すわけにはいかんっ。」
ガラッと襖を押し開け、たすき姿にはや抜刀した侍数名がバラバラっと飛び出し行く手を塞いだ。
【もんもん介】「ネズミがチョロチョロ参らせ候♪ぷはっぷは♪」
いつの間に着替えたか、緋縮緬の地色に金糸銀糸の刺繍かがリ、鶴の白抜き松の青葉、裾には蝶があしらわれているというなんとも派手派手しい、まるで布団柄のような衣装で大見得を切る。
【もんもん介】「拙者将軍様より天下御免の免状を授かりし、姓は早乙女名はもんもん介。人呼んで旗本退屈にゃんこ。ぬしらの悪事はこの股間の三日月傷がしっかと見届けておるわっ。観念せいっ。ぷはっ♪」
言うが早いかパっと居合で目の前の侍を抜き撃った。
【家老手の者2】「ぎゃあぁあぁ♪」
魂ぎる悲鳴。城内は上へ下への大混乱。
【家老手の者1】「ええい、曲者だっ、出会え出会えぇ~!」
【もんもん介】「曲者はそっちだ。我が奥義、諸出し流正眼崩し。受けてみよっ。ぱっ♪」
【家老手の者3】「ふんぎゃあぁぁ♪」



バッタバッタと並居る敵方を斬り倒し、存分に暴れまくったもんもん介。機を見て懐より件のご侍医から奪い取った薬箱を取り出し、大音声で一喝。
【もんもん介】「ええい控えおろうっ。この紋所が目に・・・」
「もとい。」^^;「この猫月藩家紋の入った薬湯箱が眼に入らぬかっ。この中に隠されしこの薬方は南蛮渡来の猛毒。お殿様を亡き者にせんとし貴公らの謀、すべて露見いたしておるっ。」「生き証人もほれ、ここに。」

いつの間にやら女将がご侍医を引き連れて現れたのには驚いた。そこが芝居のいいところw
【家老手の者一同】「へへーぇm(__;)m」
もはや逃れられぬと家老一派は次々捕縛の憂き目に。



座敷牢よりこの城の藩主、恍惚呆之守が無事救出されたのは、夜も白々と明けようかという寅の刻。
猫月藩の危難を救いしもんもん介、城中の者と共に御前に進み出た。
【もんもん介】「おおっ、ご無事で何より♪」
【恍惚呆之守】「よきに計らえ♪」
【もんもん介】「拙者これより貴殿の娘御三毛姫を狸家老の手よりお救いに江戸へ参る所存。」
【恍惚呆之守】「飯はまだか?♪」
・・・どうやら病はかなり進行している模様^^;
【もんもん介】「・・では御免。ぷはっ♪」

多少の褒賞も当てにしていたもんもん介、少しがっかりしながらも「褒美は三毛姫♪」と思い直し、股間の退屈虫をうずうずさせながら姫の囚われし山上の庵へ、まだ明けきらぬ信州路を江戸へ向かって一目散に駆け出していったのである-

いよいよ大詰め、大団円なるかー
これにて第四幕は、幕ーm(__)m



2月14日(月) | トラックバック(0) | コメント(7) | ●紙芝居/旗本退屈にゃんこ | 管理

「旗本退屈にゃんこ」 第三幕 「猫月城城下町」

【もんもん介】「これが越前の国が誇る名城、猫月城か・・」
江戸を離れること50余里。三毛姫のもとより後をつけてきた狸家老らは江戸屋敷へ入り、どうやら狸は猫月藩江戸家老と見当をつけたもんもん介。その後はここ猫月城まで夜に日をついで駆けどおしてきたのである。
一体何がもんもん介にここまでさせるのか。
【もんもん介】「三毛姫・・ええおなごじゃった。必ずや救い出して、その暁には・・。股間の退屈の虫がうずくわい。プハプハァ♪」
・・・^^;;
さて、不憫な三毛姫のことは一旦忘れて、ここはお上の意向も直には届かぬ他藩の領地。しかも堅城の誉れ高い猫月城。忍び込むにも勝手がわからず、いたずらに堀端をぐるぐる歩き回るもんもん介。
【もんもん介】「うーぬ。如何致したものか。」
思案に暮れてるもんもん介の耳に、場内よりだれぞの出て来る物音が。
【軽そうな男】「そりでは拙はちょっくら街に春を愛でに参ってくるぞよ~♪」
門番にそう軽口を残し出て来たのは、薬箱を手に下げたいかにも軽薄そうな侍。もしやこれが件のご侍医ではともんもん介、侍の後をひたりとつけて猫月藩城下町のほうへ。



ここは猫月藩城下町。
その中でも一際華やかな灯に彩られた色町に乗り込んだ件の男。後をつけてきたもんもん介はその門前に佇み、心から一言。
【もんもん介】「うーぬ。わしも致したい。」
・・・。
今は大事の途中、それも叶わぬゆえ仕方なくもんもん介、入り口に上りこみ、腰のものをはずしながら、
【もんもん介】「おーい。女将はおらぬか」
【女将】「あらいらっさいまし♪この店は初めてでございますか?」
出て来たのは年の頃は大年増なれど、肌の色雪のごとく、品のよい顔つきをした女将であった。
【もんもん介】「うむ。いや女将、なかなかに繁盛しているようじゃの。」
そういいながらもんもん介、一発でクラッときた。



【女将】「それがそうでもないんですよ。お殿様が御病気になられてからこっち、取締やら上納金の加増やらでなかなかに大変なのでございますよ。」
これはいい方向に話が向いてきたともんもん介、話をうまく誘導しながら、何気に女将の首筋に息吹きかけたり手を握ってみたりと、そっちのほうも忘れないから大したものである。
【もんもん介】(ふっ♪)「ほほう、お殿様が倒れたと。では今の御時世はどなたが?」(ぎゅっ♪)
【女将】「あ♪」「今は江戸家老の狸腹黒太夫様が権勢を奮ってらっしゃるとか?」「うっ♪」
ますます図に乗って女将への攻撃を強めるもんもん介であった。
【もんもん介】(ほれほれ♪)「今店に上っていったのは、その狸殿と縁続きの、御侍医殿ではないかの?」(ここかここか?^m^)
【女将】「ひっ♪」「そ、そのとおりでございます。よく御存知で?」「あぁっ♪」
はや夢心地の女将はこうして洗いざらいしゃべらされたのである。



一刻ほど時がたち、
【もんもん介】「なかなかに楽しい一時であった。しかし参らねばならぬ時が来たようじゃ。」
二階から件のご侍医者が降りてくる気配を察し、身形を整えながらもんもん介は、しとどに横たわる女将にそういった。
【女将】「・・・お侍さんは、私をだしにしてお二階の人を見張ってらっしゃったんですね? 悪いお方。」
そう言われてもんもん介、慌ててこう言った。
【もんもん介】「い、いや女将。今の一事は拙者心より臨んだことぞ。いやほんに。」
クスクスっと笑うと女将は、晴れやかに、
【女将】「いいんですよ、弁解なさらずとも。」
「どうやら貴方様はご病気のお殿様、それに行方知れずとの噂の三毛姫様お味方の様。どうか御武運を。」

なんと女将はすべてを見通していたようである。
【もんもん介】「女将、おぬしはほんにええおなごじゃのう。拙者名を早乙女もんもん介と申す。縁があればまたあいまみえようぞ。ぷはぷはっ♪」
ニカッと笑ってそういい残し、でわでわサラバとご侍医の後をつけて城へと取って返すもんもん介。
なにか言いたげな風情で、しかし黙って見送る女将。

いよいよ猫月城へ乗り込むもんもん介。果たして無事お殿様救出なるや?
続きは次幕にて。 第三幕は、これまでm(__)m



2月12日(土) | トラックバック(0) | コメント(4) | ●紙芝居/旗本退屈にゃんこ | 管理

「旗本退屈にゃんこ」 第二幕 「陰謀」

【狸家老】「これはこれは三毛姫。どうじゃ?少しは考えは変わられましたかの?」
「えいほーっえいほーっ。やっ。」
草深い山道を登ってきた一丁の駕篭が三毛姫のいる庵の前に到着し、中から初老の侍らしき者がそう三毛姫に声をかけてきた。
その姿、腰に挿してるものといい服装といい軽からざる身分が窺える。しかしかぶっていた頭巾をはずしたとたん、物陰に隠れて見ていたもんもん介は思わず呟いた。
【もんもん介】「うはっ。・・こりゃ見事な悪人面だわい。プハッ♪」
もんもん介のいうとおり、初老の侍は欲情に満ち満ちた顔つきで三毛姫の全身をねめ回し、テラテラ光る脂ぎった顔を長ーい舌でベロベロ嘗め回す始末。到底人品卑しからざる人物には見えない。
【もんもん介】「こやつは姫をここに捕らえた悪人におそらく相違なかろう。が、果たして今飛び出してやっつけてしまっていいものかどうか。はて?」
軽はずみで軽率で頭も腰も軽いwもんもん介がいつになくそう慎重に考えていると、三毛姫がまるで彼に語るがごとく話し始めたのである。



【三毛姫】「狸っ。我が父君が病に臥せったのを期に家老職を悪用し藩政を私物化。そしてあろうことか私をかどわかし、このようなところへ幽閉するとは。それが家老たるそちの為すべき所業ですか!」
そう言い放つ三毛姫に、狸家老は薄笑いを浮かべた。
【狸家老】「そう物分りが悪いとは、姫には失望致しましたぞ。それがしは我が藩のため、病の床に伏せっておられる殿に代わって藩政改革を進めているに過ぎんのですぞ。」
「しかし藩主の病が長引く中、我が領民の中からも動揺の声が隠し切れず、姫君にはなにとぞ、藩のため、お父上のため、我が息子斑左之門とのご婚儀の儀を承諾して頂きたく・・・」

【三毛姫】「おだまりなさいっ。」



【三毛姫】「なにが藩のため、父上のためですか。すべてはそなたの息子を猫月藩藩主として据え置かんが為の謀略っ。汚らわしいっ。」
もんもん介は二人の会話聞いて、おおよその事情は飲み込めた。
でわでわと、おっとり刀で二人の前に登場しようとしたその時、狸家老の次の一言がもんもん介の足をピタッと止めることとなった。
【狸家老】「そのような我侭ばかりゆうておられると、父君のご病状にも差し支えませぬかな?」



【狸家老】「新しい御侍医は優秀なれど、ほれ、薬湯をおつくり差し上げる時に、なにかのはずみで手元が狂う、ということも無いわけではないですからな。」
嫌らしい顔をなお一層醜く歪ませてそうのたまう狸家老。
三毛姫は美しい毛並みをブルブルッとふるわせ、
【三毛姫】「おのれ、卑劣な・・。く、口惜しい。」
というのが精一杯の様。
どうやら病の殿は、悪家老一派によって生殺与奪の権を握られてるらしかった。これではもんもん介うかつには動けない。



【狸家老】「では気がお変わりになられるまで、姫にはまだちとこの庵にいてもらわねばなりませぬな。愚息斑左之門ともども、この狸めも姫のお輿入れ、心よりお待ち申上げておりますぞ。ぐはっ、ぐはっ、ぐわはははっ♪」
高笑いを残して悪家老、狸腹黒太夫は共の者とともに庵を後に。
さてもんもん介。三毛姫のほうにはまずは差し迫ったるものはなし、それより件の猫月藩藩主のほうをなんとかするのが火急の件、と心を決め、
【もんもん介】「姫っ。このもんもん介、委細しかと承知仕りましたぞ。まずはそなたの父君を危難より救い出し、そののち必ずや姫をお迎えにまいろう所存故、姫には今しばらくのご辛抱をっ。では御免っ。ぷはっ、ぷはっ♪」
そう言い残すや、狸家老の降りていったほうへ脱兎のごとく駆け出すもんもん介であった。
【三毛姫】「もんもん介様・・。」

悪家老一派の悪巧みを粉砕すべく、単身猫月藩へ乗り込むもんもん介。その帰りを待ち、春の朧月夜を一人静かに仰ぎ見る三毛姫。
旗本退屈にゃんこの活躍、いよいよ佳境へ--。
これにて第二幕は、幕。第三幕「猫月藩百万石」の上演まで、しばしご猶予をm(__)m



2月9日(水) | トラックバック(0) | コメント(6) | ●紙芝居/旗本退屈にゃんこ | 管理

【旗本退屈にゃんこ】第一幕 「出会い」

今は昔元禄の中頃、お江戸八百八町賑やかかりし頃のお話。
無益ながら千二百石の旗本直参、気楽な身分のこのにゃんこ。姓は早乙女、名はもんもん介。股間(≧▽≦)に三日月形の向う傷。人呼んで「旗本退屈にゃんこ」と呼ばれておりました。
さていつものように本所の屋敷を抜け出したもんもん介、桜もぼちぼちほころぼうかという花のお江戸を今日も一人、ぶらぶらと散歩しておりました。
【もんもん介】「いや~、よい天気じゃ。陽気に誘われて歩いてきたが、一体ここはどのあたりかの?プハッ♪」
切り株に腰掛け、汗をぬぐいながら休んでいるもんもん介の目に、異様な光景が飛び込んできました。
【もんもん介】「ややっ」



そこには見目麗しい女人が、あられもない格好で身体を清めてるではありませんかw 気配を察してきっと顔を上げたその女人。
【三毛姫】「そこから覗いているのは何者です。わらわを猫月藩百万石藩主、白猫太ゑ丞が娘、三毛と知っての狼藉ですか?」
凛とした声でそう言い放たれてもんもん介ははっと我に返り、言い分けを始めました。
【もんもん介】「いやいやそうではござらん。散歩しておったらこのようなところに出て、ふと見ると三毛姫の姿が目に留まっただけでござる。いや、これはまことに失礼仕った。プハッ♪」



【三毛姫】「そういうことでしたらお許し申上げましょう。早くここをお立ち去りください。」
そういわれても、このまま去るのは余りに惜しい。股間(≧▽≦)の「退屈の虫」がムズムズしてきたもんもん介は、三毛姫の肢体をチラチラと盗み見ながらこう尋ねた。
【もんもん介】「ところで三毛殿は、何ゆえこのような草深き庵に一人でお住いか?大身百万石の姫君の諸行にしてはちとおかしい気がいたすが?」
よく見ればこの庵、造りは立派だが幾重もの鉄柵に囲まれてものものしい雰囲気。共の者の姿も見えない。しかも門には外側から大きなかんぬきと錠前がかけられている様子。もんもん介ならずとも首をかしげるところである。



【三毛姫】「貴方様のお名前は?」
【もんもん介】「おおっ。そういえばまだ名乗っておらぬかったな。拙者、姓は早乙女名はもんもん介。股につきしこの傷は、天下御免の向う傷。人呼んで、旗本退屈にゃんこと呼ばれております。プハッ、プハッ♪」
【三毛姫】「きゃっ(/ω\*) そのようなモノ、早くお仕舞いくださいっ」
やんごとなき身分の姫は、袴の裾をおっ広げて見せるもんもん介に真っ赤になりながらも、
【三毛姫】(/ω・\)チロリンコ
そこはうら若き娘御。興味津々のようでもあるw
しかしもんもん介の場合はそんなもんじゃないww 姫と自分とのこんな↑あられもない姿を想像して、向う傷がうずきっぱなしだったのである。
おいたわしや、三毛姫・・・



そのとき、山の下のほうからガサガサと誰か近づいてくる音が!
【三毛姫】「もんもん介様、お隠れになって!」

三毛姫は何故このようなところに囚われてるのか?股間に向う傷を持つもんもん介の、この後の劣情あふれる((爆))活躍は如何に?
どちらに転んでも不幸が約束されたような三毛姫に、果たして幸せは来るのか?

波乱を含みながら、第一部は、幕m(__)m



2月8日(火) | トラックバック(0) | コメント(6) | ●紙芝居/旗本退屈にゃんこ | 管理


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